「ニュースをつければ『EVシフト』や『ガソリン車廃止』の話題ばかり。今、ガソリン車を買ったら将来乗れなくなるんじゃないか?」
「かといって、自宅に充電設備もないのにEVを買うのは不安だ…」
来年の車検を前に、そんな迷いを抱えている方は非常に多いです。車は家の次に高い買い物ですから、流行りで選んで資産価値を落とすような失敗は絶対に避けたいですよね。
焦ってEVに乗り換える必要は全くありません。
むしろ、技術の過渡期である今、あなたの資産と安全を最も確実に守るのは、夢の完全自動運転車でもフルEVでもなく、熟成された「ある技術」なのです。この記事では、感情論ではなく、経済産業省のデータや中古車市場の動向という「数字」に基づいて、10年後も後悔しないための現実的な車選びの正解をお伝えします。
「2035年にガソリン車廃止」の誤解。ハイブリッドは生き残る
まず、多くのドライバーが抱えている最大の誤解を解きましょう。「2035年までに新車販売を電動車100%にする」という政府目標を聞いて、「ハイブリッド車(HV)も売れなくなる」と思っていませんか?
結論から申し上げます。2035年以降も、ハイブリッド車は問題なく新車として販売され、乗り続けることができます。
なぜなら、経済産業省が定義する「電動車」には、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)だけでなく、エンジンとモーターを併用するハイブリッド車(HV)も明確に含まれているからです。
メディアの見出しでは「脱ガソリン」という言葉が独り歩きしがちですが、政府の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」などの公式資料を確認すると、ハイブリッド車は排除されるどころか、現実的な移行期間の主役として位置づけられています。つまり、「2035年電動化目標」と「ハイブリッド車」は対立するものではなく、包含関係にあるのです。
したがって、「規制で乗れなくなるから」という理由で、無理をしてまでEVを選ぶ必要性は、法制度上どこにも存在しません。
・純ガソリン車: × 販売禁止(2035年以降)
・ハイブリッド車 (HV): 〇 販売継続(電動車に含まれる)
・プラグインハイブリッド (PHEV): 〇 販売継続
・電気自動車 (EV): 〇 販売継続
※補足: 電動車 ≠ EVのみ。
経済産業省の定義に基づく電動車を分類しています。純ガソリン車は2035年に販売禁止となりますが、ハイブリッド車は電動車に含まれるため販売継続が可能となっています。
資産価値で比較!EV vs ハイブリッド、10年後に笑うのはどっち?
次に、「資産価値(リセールバリュー)」についてお話しします。車を「消費」ではなく「資産」として見たとき、10年後に高く売れるのはEVとハイブリッド車のどちらでしょうか?
現状の市場データを見る限り、資産価値の安定性においてはハイブリッド車(HV)に軍配が上がります。
電気自動車(EV)は技術革新のスピードが非常に速いため、スマートフォンのように「数年で性能が陳腐化する」リスクを抱えています。また、中古車市場では「バッテリーの劣化」に対する懸念が強く、年数が経過したEVのリセールバリューは、同クラスのガソリン車やHVに比べて下落率が高い傾向にあります。EVとリセールバリューは、現状では「技術的陳腐化」というリスク要因によって、相反する関係になりがちなのです。
一方で、ハイブリッド車(HV)は技術が成熟しており、国内外で底堅い需要があります。特に、信頼性の高い日本メーカーのHVは、10年落ちでも驚くほどの高値がつくケースが珍しくありません。
「最新こそ正義」という考えを捨て、「熟成された技術」を選ぶことが資産を守ります。
なぜなら、自動車市場において「初期の革新技術」は、不具合のリスクや陳腐化の早さから、中古車価格が暴落する歴史を繰り返してきたからです。「ハイブリッド車のような『完成された技術』こそが、最も値落ちしない最強の金融商品である」と考えられます。
「完全自動運転」は待つな。今選ぶべきは「レベル2+」のハンズオフ
「でも、もうすぐ自動運転の時代が来るなら、今の車はつなぎでいいのでは?」
そう考える方もいるかもしれません。しかし、ここで重要なのは「自動運転レベル4(完全自動)」と「自動運転レベル2+(高度運転支援)」の違いを正しく理解することです。
運転席に誰もいないような「自動運転レベル4」が、一般の自家用車として普及するには、法整備やインフラを含めてまだ相当な時間がかかります。これを待って買い控えをするのは、安全面で得策ではありません。
今、あなたが選ぶべきは、すでに実用化されている「自動運転レベル2+」です。
レベル2+とは、高速道路などの特定条件下で、ハンドルから手を離すこと(ハンズオフ)が可能な機能を指します。これがもたらす恩恵は絶大です。例えば、家族旅行の帰りの渋滞。これまでは疲労困憊でイライラしていた時間が、レベル2+があれば、車が車線と車間を完璧に維持してくれるため、劇的に楽になります。
自動運転レベル2+とレベル4は、「現実的な実用機能」と「未来の目標」という対比関係にあります。未来を待つのではなく、今ある「レベル2+」の恩恵を享受することこそが、家族の安全と快適な移動を確実に手に入れる方法です。
結局、次の車検で何を買うのが正解か?
ここまで、法規制、資産価値、安全技術の面から解説してきました。では、結論として、次の買い替えで何を選ぶべきなのでしょうか。
あなたのライフスタイル、特に「自宅に充電設備を設置できるか」と「車の利用目的」によって、正解は明確に分かれます。
もしあなたが、「自宅に充電設備がなく、週末の遠出や帰省にも車を使いたい」のであれば、ハイブリッド車(HV)またはプラグインハイブリッド車(PHEV)が唯一にして最良の選択肢です。
| 比較項目 | ハイブリッド車 (HV) | プラグインHV (PHEV) | 電気自動車 (EV) |
|---|---|---|---|
| おすすめな人 | 自宅充電なし / 慎重派 | 自宅充電あり / 平日は近場、休日は遠出 | 自宅充電あり / 新しもの好き / 近距離中心 |
| 初期費用 | ◎ 比較的安い | △ やや高い(補助金あり) | △ 高い(補助金あり) |
| 維持費(燃料代) | 〇 良い | ◎ 非常に良い | ◎ 非常に良い |
| リセールバリュー | ◎ 非常に安定 | 〇 安定 | △ リスクあり |
| インフラ依存度 | ◎ ガソリンスタンドでOK | 〇 ガソリン+電気 | × 充電スポット必須 |
「失敗したくない」「長く乗りたい」と考える方にとって、インフラの心配がなく、資産価値も安定しているハイブリッド車は、まさに「鉄板」の選択です。
よくある疑問(FAQ)
よくある疑問をご紹介します。Q1. マンション住まいで充電器がありませんが、PHEVは買えますか?
A. 買えますが、メリットは薄くなります。PHEVは自宅で充電してこそ「電気で走る」恩恵を最大化できます。充電できない場合、単なる「重たいハイブリッド車」になってしまい、燃費効率が悪くなる可能性があります。マンションにお住まいなら、充電不要のハイブリッド車(HV)が最も合理的です。
Q2. ガソリン車への風当たりが強くなっていますが、税金は上がりませんか?
A. 将来的に純ガソリン車の税負担が増える可能性は否定できません。しかし、ハイブリッド車は環境性能が高いため、エコカー減税などの優遇措置が当面続くと予想されます。この点でも、純ガソリン車よりハイブリッド車を選んでおく方が、税制リスクへのヘッジになります。
まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
「2035年問題」や「EVシフト」という言葉に踊らされて、不安になる必要はありません。データを紐解けば、ハイブリッド車こそが、今後10年のカーライフを支える最も現実的で賢い選択肢であることが分かります。
- 2035年以降もハイブリッド車は乗れる。
- リセールバリューはEVよりハイブリッド車の方が安定している。
- 「レベル2+」搭載車を選べば、安全性と快適性は劇的に向上する。
どうか、流行に流されず、あなた自身の生活と資産を守る「賢い選択」をしてください。
次はぜひ、お近くのディーラーで「ハンズオフ機能付きのハイブリッド車」を試乗してみてください。「これなら10年戦える」という確かな手応えを感じられるはずです。また、現在お乗りの車の価値を知っておくことも、買い替えの第一歩です。まずは愛車の相場をチェックすることから始めてみてはいかがでしょうか。
[参考文献リスト]
- 2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略 – 経済産業省
- 自動運転の実現に向けた動向について – 国土交通省