お父様からお車を譲り受けられたそうですね。おめでとうございます。
ところで、名義変更の手続きはもうお済みでしょうか。まだでしたら、面倒に感じられるそのお気持ちは、よく分かります。しかし、少しお時間をいただいて、この話をお聞きください。その一時的な「面倒」を後回しにすると、罰金や税金の督促、最悪の場合は保険金が支払われず、人生が立ち行かなくなるという事態に陥りかねません。
この記事では、「見つからなければ大丈夫」という安易な考えがいかに危険であるか、あなたを待ち受ける5つの深刻なリスクと、そこから抜け出す最も簡単な方法について詳しく解説します。この記事を読み終えたとき、あなたは「今すぐ手続きをしないと大変なことになる」と感じ、きっとすぐに行動を起こされているはずです。
「見つからなければ大丈夫」が通用しない、たった1つのシンプルな理由
「実際、名義変更していない人は多いですよね?見つからないのではないでしょうか?」
こういった質問がよく聞かれます。おそらく、あなたも心のどこかでそう思われてはいないでしょうか。結論から申し上げますと、そのお考えは残念ながら全く通用しません。
なぜなら、車の名義変更は「行ったほうが良いマナー」といったものではなく、道路運送車両法という法律で定められた国民の義務だからです。そして、この法律に違反することは、交通違反とは異なり、「犯罪」に該当します。
第十三条 新所有者は、事由があつた日から十五日以内に、国土交通大臣の行う移転登録の申請をしなければならない。
第百九条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
二 第十三条第一項(中略)の規定による申請をせず、又は虚偽の申請をした者
出典: 道路運送車両法 – e-Gov法令検索
道路運送車両法で定められた移転登録の義務を怠ることは、最大50万円の罰金という刑事罰の原因となります。問題は警察に見つかるかどうかではありません。これからご説明するようなトラブルが、自然と発生してしまうことになるのです。
あなたを待ち受ける5つのリスク【罰金以上に現実的な問題】
50万円の罰金ももちろん重大ですが、本当に深刻なのは、あなたの日常に起こりうる、より現実的なトラブルです。5つのリスクをご紹介します。
リスク①:お父様の給与が差し押さえに?納税通知を巡るトラブル
毎年春になると、車の所有者のもとへ自動車税の納税通知書が届きます。あなたが名義変更をしない限り、車検証上の所有者はお父様のままです。つまり、納税通知書は毎年、ご実家のお父様のもとへ届き続けます。
もし、あなたが支払いを忘れ、お父様も気づかずに滞納が続いた場合、どうなるでしょうか。役所は、車検証の所有者であるお父様の財産を差し押さえることができます。これは法律で認められた正当な権利です。あなたの「面倒くさい」という気持ちが原因で、ある日突然、お父様の給与や銀行口座が差し押さえられるかもしれません。これほど大きな迷惑をかけることはないでしょう。
リスク②:人生を左右する事態も。事故の際に保険金が支払われないケース
これが最大にして最悪のリスクです。あなたは当然、任意保険に加入されていると思います。しかし、その保険証券をよくご覧になってください。「主に運転される方(記名被保険者)」はあなたのお名前になっているはずです。しかし、車検証の所有者はお父様のままです。
この状態は、保険契約における告知義務違反と見なされる可能性が非常に高くなります。任意保険の契約は、正しい情報が告知されていることが大前提だからです。もしあなたが人身事故を起こしてしまった場合、保険会社から「契約に違反があるため、保険金は1円もお支払いできません」と通告されるシナリオも考えられます。そうなれば、数千万円にも及ぶ賠償金を、あなたご自身が一生かけて支払い続けることになります。
罰金のリスクよりも、任意保険が無効になるリスクを最優先で懸念してください。
なぜなら、多くの方が「罰金くらいなら…」と安易に考え、この保険のリスクを見落としてしまうからです。人生が取り返しのつかないことになったケースは、すべて事故と保険のトラブルが原因でした。
リスク③:違反通知がご実家へ。気まずい思いをする可能性
あなたが駐車違反やスピード違反をした場合、その通知はどこに届くと思われますか。もちろん、車検証の所有者であるお父様のご住所です。ある日突然、ご実家に警察からの通知が届けば、ご両親はどれほど心配されるでしょうか。気まずい思いで電話をし、謝罪するあなたの姿が目に浮かぶようです。
リスク④:売却も廃車もできない。資産価値を失うリスク
数年後、あなたがその車を「売りたい」「廃車にしたい」と思っても、所有者がお父様のままでは、あなたの一存では何もできません。売却にも廃車手続きにも、所有者であるお父様の印鑑証明などが必要になります。その時になって慌てて連絡するのも、やはり気まずいものでしょう。
リスク⑤:【最大50万円の罰金】という最終的な罰則
そして最後に待ち受けているのが、法律による処罰です。悪質なケースと判断された場合、道路運送車両法に基づき、50万円以下の罰金が科されることがあります。これは交通反則金のような行政罰とは異なります。罰金刑という、れっきとした前科になります。
【最短ルート】これらのリスクを回避する最も簡単な方法
ここまで様々なリスクについてご説明してきましたが、ご安心ください。これらのリスクを回避する方法は、驚くほど簡単です。選択肢は2つあります。
自分で行うコース(費用節約)
平日に休みが取れ、書類の作成が苦にならないようでしたら、ご自身で挑戦されるのも良いでしょう。費用を数千円に抑えられる点が最大のメリットです。
専門家に依頼するコース(時間と安心を買う)
「平日に休めない」「書類の作成は苦手だ」という方には、行政書士に任せるのが最善の方法です。数万円の報酬はかかりますが、面倒な書類集めから役所への提出まで、すべてを代行してくれます。時間と安心感を得られると考えれば、決して高い費用ではないはずです。
| 比較軸 | 自分で行う場合 | 専門家(行政書士)に依頼する場合 |
|---|---|---|
| 費用 | ◎ 安価(数千円程度) | △ 費用がかかる(数万円~) |
| 手間 | × 手間がかかる(書類収集、平日の役所手続き) | ◎ 手間がかからない(手続きをすべて任せられる) |
| 安心感 | △ 書類不備の可能性あり | ◎ 確実(専門家が代行) |
よくあるご質問(FAQ)
Q1.平日に休みが取れない場合はどうすればよいですか?
A1.まさに、そのような方のために行政書士がいます。委任状があれば、あなたやお父様が役所へ出向く必要は一切ございません。
Q2.お父様から貰う書類は具体的に何ですか?
A2.主に「譲渡証明書」「印鑑証明書」「委任状」の3点です。すべてにお父様の実印が必要になります。まずはこの3点セットをご準備いただくよう、お願いしてみてください。
Q3.費用は全部でいくらかかりますか?
A3. 自分で行う場合、ナンバープレート代や印紙代などで合計5,000円前後です。行政書士に依頼される場合は、その実費に加え、1万円~3万円程度の報酬が一般的です。
まとめ:未来のあなたとお父様を守るために
名義変更は、単なる面倒な手続きではありません。あなたと、あなたの大切なお父様を、将来起こりうる深刻なトラブルから守るための、いわば「お守り」のようなものです。
この記事をここまでお読みになったあなたは、名義変更をしないことのリスクを十分にご理解いただけたはずです。あとは、行動に移すだけです。今すぐお父様に連絡を取り、「週末、名義変更の書類のことで相談したい」と伝えてみましょう。それが、様々なリスクを回避するための、最初の確実な一歩となります。